シベリアから来るナベヅルは、朝鮮半島を経由して主に鹿児島県出水(いずみ)市で越冬しています。昔、ツルは日本各地で見られたのですが、現在、乱獲や生息環境の悪化から特定の場所でしか見られなくなりました。出水市では2007年11月の調査でナベヅル10,973羽を数えています。その他山口、徳島、高知などでも越冬していますが、その数は少数です。
越冬地の集中化は、伝染病などによる種全体の絶滅の危惧をもたらしています。そのため、四国などでは、新たな越冬地づくりに取り組まれているそうです。しかし、まだ、成功したといえる状況ではありません。
ここ日高地方でも、ナベヅルは今までにも来ていましたが、短期間滞在するだけでした。しかし、2007年12月25日にやってきた9羽は、そのまま居着きました。2008年1月9日に、高知県香南市よりやってきた5羽と合流し、計14羽(成鳥10羽、幼鳥4羽)が、日高川で初めて越冬しました。夜は、日高川中州をねぐらにし、夜明けとともに飛び立つと、美浜町や日高町の田んぼで二番穂などを食べています。日高地方でこれからも長く留まるように見守っていきたいですね。
(撮影、文 御坊市 樫合 弘美)