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宮子姫物語

1

 九海士(くあま)の里に住む海女の夫婦は、子宝に恵まれないことから氏神の八幡宮にお祈りしたところ、女の子を授かりました。そこで名前を「宮」と名づけました。ところが大きくなっても宮には髪の毛が生えてきません。両親は悲嘆にくれていました。

挿絵1枚目

2

 そんなある日、母親が海に潜っていると、海底に光輝くものがありました。それは黄金色の小さな小さな観音様でした。

挿絵2枚目

3

 持ち帰った観音様をお祀りして、毎日お祈りを続けていると、にわかに宮の髪が生えはじめました。

挿絵3枚目

4

 髪はどんどん伸び、里の人々は宮のことを「髪長姫」と噂するようになりました。

挿絵4枚目

5

 ある日、宮が黒くてつやつやした髪をすいていると、ツバメが飛んできてその髪を一本くわえこんで飛び去りました。

挿絵5枚目

6

 ところかわって奈良の都、藤原不比等は、自分の屋敷につくられたツバメの巣から、長い黒髪が垂れているのを見つけました。当時、長い黒髪は美人のあかしでした。不比等は早速、髪の主を探しだし、養女に迎え入れました。

挿絵6枚目

7

 不比等の養女となった宮は、「宮子」という名をいただき、後に文武天皇の后となり、奈良の東大寺を建立した聖武天皇の母となりました。

挿絵7枚目

8

 宮子は黒い長い髪を授けてくれた観音様をお祀りしたいと文武天皇にお願いしました。天皇は紀道成に命じて立派なお寺をつくらせました。それがあの道成寺だというのです。

挿絵8枚目

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